吾輩は猫である?いいえ、私こそ猫である。

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彼は「吾輩は猫である」と言った。
私は「いいえ、私こそ猫である」と言い返した。
彼は物書きを生業としている。筆の進みは決して早いとは言えず、彼の原稿を待つ担当はいつも彼の部屋の前で原稿が出来上がるのを待っていた。
担当は決して彼を急かすことはしない。
だって、彼は筆が遅いだけでその集中力たるや、放っておいたら原稿が完成するまで飲まず食わずで書き続けるほどだ。
そんな事情もあり、彼はこれまで何度も病院のお世話になっている。
それでも筆を手離さないところ、「彼の病気はもう治らないと」医者の方が先に匙を投げてしまった。
だから私は彼の世話をすることにした。定期的に彼の部屋に訪れると食事と促す。
彼は食事を取るとすぐに原稿に戻る。食事も無意識で取っているようだ。
仕上がった原稿を嬉しそうに担当である私に見せる彼。
缶詰状態が終わり、私は最初に新鮮な彼の作品を味わう。
彼の作品は描まっしぐらである。
公開:19/07/05 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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