雨の独り言

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「はぁ…こんなもの送って、皆さん本当に喜んでくれるかしら?」
「こんなものとは失礼だな。それは僕達の愛の結晶だぞ」
落ち込む私の後ろに夫が立っていた。
「でも元はと言えば私が皆さんに迷惑をかけたから…そんな私がお中元を出したところで皆さん喜んでくれるの?」
「ちょっと来てごらん」
夫は私を外に連れ出した。
「ほら、あそこを見て。あの場所は僕が先にお中元を出した場所なんだ」
夫の指さした場所には綺麗な虹がかかっていた。
それを見て、多くの人が笑顔になっている。
「ね。雨上がりの太陽からの贈り物に皆、喜んでいるよ。大丈夫。君は胸を張っていいよ」
「でも…」
「雨である君がいないと植物は育たないんだよ。人に恨まれても、自然は君に感謝しているさ」
「太陽さん…」
私は夫である太陽さんの言葉に泣くのをやめた。梅雨が明ける。夏が始まる。
水不足にならないよう、雨である私は「この夏も頑張ろう」と呟いた。
公開:19/07/03 18:30

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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