おやつ論争

ついに消費税率が上がった。
それまで｢おやつは300円まで｣という不文律が長らく続いていたが、｢おやつは税込み300円まで｣という新しいルールが施行されるようになった。
実質的な目減りであることで世の中には批判的な意見があふれ、ついに｢おやつは税込み500円まで｣を公約に掲げる政党が出現するようになった。
選挙の結果、その党は大躍進をし連立政権与党を組むことになったのであるが、なぜかおやつの上限は480円となっただけだった。
以前よりは増えたが、500円に届かなかったことへの不満はくすぶり続け、やがて上限500円を求める大規模なデモが各地で起こるようになり、政府はついに上限500円を認めたのである。

これが世に言う｢おやつ論争｣である。

しかし、｢バナナはおやつに含まれますか？｣論争の火種がくすぶり始めていることに、この時点で気づいている者は、不思議なことにほとんどいなかったのである。