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「おかしいわねぇ。また一人分余っちゃった」
寮母さんが、誰も手をつけない夕食の皿を前に首をかしげている。僕たちは、「またぁ?」「うっかりさんだねぇ」と笑ってすませる。寮母さんのそんな姿には慣れっこだからだ。というか、その間違いには触れない。というのがこの寮の暗黙のルールになっている。
寮母さんは朝ご飯とお弁当はきっちり人数分を作るのに、晩御飯だけは、必ず一人分多く用意してしまう。この寮に入る新入生は、先輩から必ずこの話を聞かされ、この件は笑って流すように、と厳命される。決して、人数のことで何かを試したり、助言をしたりしないようにと。
「そうしないと、どうなるんですか?」
先輩の言うことは絶対! という鉄の掟を知らない新入りが時折入ってくる。そんな奴は、こう言ってから鉄拳制裁する。
「以後、余りが二人分になるのも、知らない顔は一人も増えていないのに数がぴったりになるのも、嫌だろ?」
寮母さんが、誰も手をつけない夕食の皿を前に首をかしげている。僕たちは、「またぁ?」「うっかりさんだねぇ」と笑ってすませる。寮母さんのそんな姿には慣れっこだからだ。というか、その間違いには触れない。というのがこの寮の暗黙のルールになっている。
寮母さんは朝ご飯とお弁当はきっちり人数分を作るのに、晩御飯だけは、必ず一人分多く用意してしまう。この寮に入る新入生は、先輩から必ずこの話を聞かされ、この件は笑って流すように、と厳命される。決して、人数のことで何かを試したり、助言をしたりしないようにと。
「そうしないと、どうなるんですか?」
先輩の言うことは絶対! という鉄の掟を知らない新入りが時折入ってくる。そんな奴は、こう言ってから鉄拳制裁する。
「以後、余りが二人分になるのも、知らない顔は一人も増えていないのに数がぴったりになるのも、嫌だろ?」
ホラー
公開:19/07/03 09:52
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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