おわかれ

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飼い猫がいなくなった。
人間でいうと百歳を超えるおばあちゃんで、最近は老衰のためかぐったりしていた。
「猫は死期を悟ると姿を消すのよ」母が教えてくれた。

「あ。そういえば」
猫の様子が心配で、小型のWEBカメラを首輪に仕掛けていたのを思い出したのだ。
パソコンには最近のものと思われる映像が残っていた。
猫の目線を追う映像は、家の周りをゆっくり回ってリビングの中に移動した。何かを探すようにキョロキョロ動く。

映像は私の部屋へと移動した。
そこにいたのは、私だった。昼寝をしている私の寝顔を、猫はただじっと見つめていた。
やがて満足したのか、ぴょんと飛び跳ねてクローゼットの中に入った。
そこで映像が途切れていた。

「そこにいるの?」
クローゼットを開けると、WEBカメラが落ちていた。
猫の姿は、どこにもない。

「そっか。最後に会いにきてくれたんだ……」
私はその形見を抱きしめて、泣いた。
ファンタジー
公開:19/07/02 23:35
更新:19/07/02 23:43

UBEBE

しばらく栗饅頭

「小説は短く、人生は永く」

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