ブギーマンに誘われて

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 ここは海底都市? そう訊くと、そうだよ、とブギーマンは答えた。僕の手を引き、どんどんと海の底へ底へと沈んでいく。
 とっくに海の上からの光は消えているのに、僕らは海百合の様に、または森の様に塔の連立する都市から発せられる光を目指し、泳いでいた。
 そうして辿り着いたのは、魚達に囲まれた、光の都市だった。
 生まれ育った我楽多街は、遥か遠く。
 海に沈んで溺れた筈の僕を、水球ドームから幻想楽団が華やかな演奏で迎えてくれている。
 クラリネット、サックス、ユーフォニウム、トロンボーン、ホルン。
 本当に、それはパレードだった。
 お父さんにどれだけ頼んでも連れていってくれなかった、夢にまで見た、色鮮やかなパレード。
 僕、苦しかったよ、ブギーマン。
 もうそんな心配、必要無いさ。
 パレードが続く。僕の為のパレードが。
ファンタジー
公開:19/07/02 21:34
ファンタジー 空想 海底 不思議

宇津木健太郎( 我楽多街 )

優しい世界の話。
遥かなる宇宙の話。
夏の陽だまりの中の話。
世界を覆い尽くす青空の話。
あなたの隣に居る私の話。

そんな、日常から宇宙の果てまで存在する、不思議で空想的な話を紡いでいきます。

時々ホラーも書くかも知れないけれど。

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