雨の独り言

おやおや、この前までお母さんに抱っこされていたチビ助がもう自分で歩けるようになったかと思えば、今では私を持ち歩くまで成長したかい。子供の成長ってのは早いものだね。
ま、同じくらい飽きるのも早いだろう。お前の兄さん達だってそうだった。
私を手にした時はそりゃ嬉しそうに毎日使ってくれたさ。
しかしすぐに他に楽しいことが出来たのだろう。子供は風の子。私のことは忘れて遊び回るようになった。お前も直にそうなる。
そう思っていたがこの子は中々辛抱強い子のようだ。
毎日、私に水を入れては地上へと送り出してくれる。その水は雨となって地面を潤しているよ。
お前のおかげで今年も地上ではいい米が育ってる。やっぱり女の子はこうした何かを育てる才能があるのかね？
そういやお前の兄さん達、今日もお父さんに雷落とされていたね。それも作物を育てるには大切なことだ。
私、雨雲如雨露はこの台風一家に来られて本当に幸せだよ。