船の守り神

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見渡す限り地平線しか見えない。

大海原でワタシはいつも北を向く。
乗組員はワタシを見て、船首の向きを確認したものだ。頑固で気難しい機関士長とも、ワタシは実に上手くやっていた。船を食い物にする奴らは、ワタシが乗船してると耳にすれば、ちゅーと震え上がり、この船に乗って来ない。ワタシが騒げば時化、寝てりゃ好天。船長の良き相棒だ。
しかし、お別れだ。
ワタシを海へと流す時、身なりを正した乗組員全員、甲板に揃い敬礼をして見送ってくれた。
ありがとよ。また戻ってくる。舵輪の上はワタシの場所だ、空けとけよ。

海底につき、砂になり流れ着く。どこかの港町に。ワタシは朝日で輝く砂だ。砂はまた海の上で出来た漏斗雲に巻き上がり、静かにその港のビットの上に降り立つ。砂が丸くおびながら立派な髭を蓄え、そしてワタシの自慢の三毛の柄が浮かび上がる。
…ニャー

「船長さん!希少な三毛猫のオス買わないか?船の守り神に」
ファンタジー
公開:19/07/03 22:46
更新:19/07/09 17:24
猫びより

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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