ねこたまさん

部屋のオモチャは遊び散らかしたので、虫の知らせを感じて家を抜け出した。
しかし道を歩いていると目の前にねこたまさんが現れた。
つまり、私はもう。

ねこたまさんは私のおでこに肉球をかざした。
私の耳から丸いふわふわの毛玉がゆっくりと抜け出し、その毛玉の中心に私の顔が現れた。
そして私だった猫の体は道路に崩れ落ちた。

白く大きな袋を抱えたねこたまさんはニッコリと私に微笑んだ。
袋の中にはたくさんのねこたまがふわふわしている。

もういいかにゃ

私はどうしても一つだけやりたい事がある、とねこたまさんにお願いした。

「美優！部屋の掃除しといて！」
「綺麗だよ！」
「さっきミカンがオモチャで遊んでたんだけど？ミカンは？」

最後くらい、ね。
ねこたまさんが笑っている。

ミカンはおしまいにゃ

はい

私は微笑み返した。とほぼ同時に袋へ吸われた。
次も美優ちゃん達に会えるといいな。