コピーされる猫?

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「同じような猫ってたくさんいるだろ?模様とか耳の形まで一緒なんじゃないかってやつ。そういうの見て、すごく不思議だと思わない?」
この唐突な話し方。
こいつはいつもそうだから多少は慣れたけど、やはり少しは戸惑う。
とはいえ俺たちは週3で遊ぶ仲で、昨日も毎週恒例の銭湯へ行ったくらいだ。
今日もいつもの調子で、
「それは単純に同じ猫を見てるだけじゃないのか?」
と答える。
「違うんだよ、あれはコピーされてるんだよ。秘密の研究所で、猫の体を使って何やら実験をしているらしい。」
「はぁ。記憶はどうなるんだ?」
そんなバカなと思いながら、精一杯の質問を絞り出す。
「コピーされるまでの記憶はあるらしい。まぁこの話はいいか」
俺の無関心さが伝わったのか、この話はもう終わってしまうようだ。
代わりに、
「それじゃあ、いつもの銭湯に行きますか」
と俺に言いながら立ち上がった。
SF
公開:19/07/03 22:18
更新:19/07/03 22:40

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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