08. 野良犬と捨て猫のブルース

オレサマ、孤高の野良犬・ワンダフル。
汚らしい？　傷だらけ？
チッ、チッ、チッ。こう見えて、ワンダーな日々を送っているんだぜ。
なんせ、恋までしているからな。
あれは忘れもしねぇ……えーと、いつだっけか？
とにかく、いつものように街を徘徊していた時だ。
見慣れぬ箱を見つけて、なにげなく覗いてみたんだ。
「猫……？」
中には妙に毛艶の美しい猫が寝ていた。オレサマの気配に気づいたのか猫耳がピクリと動き、猫が顔を上げた。
その顔を見た瞬間、オレのハートはズキュンと撃ち抜かれたね。
「か、可愛いっ！」
オレサマは本能赴くまま尻尾をフリフリ、箱の中に飛び込んださ。
「さぁ、たっぷりと可愛がってやるぜ！」

「フギャーーッ！」

こてんぱんにやられたよ、チクショウめ。引っ掻き傷だらけなのは、そのせいさ。
だが、これくらいでオレは諦めねぇぞ！
捨て猫ちゃんの哀愁帯びたその顔、いつか必ず笑顔にしてやるぜ！