サムシング・ブルー

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俺の彼女は青が好きだ。
デートの服は必ず青。食事する店は、味より壁やクロスで選ぶ。青信号なら機嫌が良く、晴れれば空にうっとり。二人の馴れ初めも、俺の名前が青井蒼太で、青い車に乗ってたから。結婚式は青い教会で、青いドレスにブーケと決めている。
彼女の青への拘りは尋常でなく、家の内外も様々な青に占領され、他の色を持ち込ませない。これが衣食住に徹底されるから、赤や黄色の食材を買うと、すかさず青い冷蔵庫に仕舞い、料理は青い電灯の下、不味そうに蒼褪めた青い皿の上。生涯続くと思うとブルーになるが、そこ以外は理想の彼女。少しくらい我慢するつもりだった。

偶然開けた彼女の机の、整頓された青い小物類に、余計な色が混じっていなければ。
俺は彼女が何色でも、染めた奴が誰でも構わないが、完成した秩序を乱される事は我慢ならない。

引き出しの写真と同じ、真紅に染まった青いドレス。
仕方ない。今度は全部赤にしよう。
ホラー
公開:19/04/01 20:00
更新:19/04/01 19:20

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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