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「いいか、お前ら。人間にはやる気スイッチなんてのは付いてないんだ」
教師は黒板に書いてある『きょうから新学期!!』と言う文字をダン!と叩いて言った。
「そのうちやる気スイッチを入れて勉強を頑張りますだと?そんな甘い事でどうする!」
彼は生徒全員から集めた新学期の目標が書いてある作文の束をひらひらさせた。
そしてするどい目で生徒たちを見渡した。
「誰がそれを書いたかは言わないが、40人中13人もが同じような事を書いとる」
教師は頭をぼりぼりと掻いた。
「先生は情けないぞ。いいか?やる気スイッチなんかはない!常に全開で行け!そうでないと……」
教師の言葉が途切れ、彼は教卓に両腕を付いたままのかっこうで固まってしまった。
「あれ?ロボット先生、止まっちゃったよ」と、一人の女生徒が言う。
教師の後ろにはいつの間にか、意地の悪そうな眼をした男子生徒が立っていた。
「背中の電源スイッチ押してやったぜ」
SF
公開:19/04/01 08:34
更新:19/04/01 08:37

家韮真実(いえにら・まみ)( 兵庫県 )

もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)

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