ダンディー千円札

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私は惨めな女。金も無ければ男もいない。
今日も腹が空いて泣けてくる。
「泣かないで、君に涙は似合わないよ」
財布の中から聞こえてくる渋い声。
英世?一枚だけとっておいた貴方が私を慰めてくれるの?
チョイ悪な髭に熱い眼差し、こんな魅力的なおじ様が近くにいた事に気づかないなんて、本当に馬鹿だったわ。
それからの私は一人じゃなかった。私を見つめる彼の変わらぬ表情を見ているだけで幸せになれた。
でもそんな時間も長くは続かず、遂に二人には別れの時が来た。
腹の音を鳴らす私を諭す様に彼が言う。
「行くんだ。君には素敵な未来が待っている」
私は涙を拭きレジに向かった。

英世、本当に素敵な未来が待ってたわ。
聞こえる?貴方のいた場所の隣から響いてくる泣き声。
私たちの子銭よ。
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公開:19/03/27 12:35
更新:19/03/27 12:36

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