0
3

厳つい顔をした捜査員、総勢五十名が、会議室に集められた。
課長は、三名の被害者の名前や性別、出身校、被害時の状況が事細かく書かれたボードの前に立ち、大声を上げて言った。
「お前達は、誰のために捜査を続けてる?被害者の遺族であることを忘れるなよ。いいか、どんな手段を使ってでも、犯人を見つけ出し、必ず、捕まえるんだ。わかったな」
課長は、捜査員達の士気を高めた。
捜査員達は、そそくさと、鞄の中に資料を詰め込み、自分の役割の場所へと向かっていった。
若井刑事の情報班も、後に続いて、熱気の溢れた部屋を出た。

「誰のために捜査を続けているか・・・俺にはよくわかねーな。人が死んだら、もうそれでそいつの人生は終わり。あとは遺族も後を追いかけるだけじゃないのか」
若井刑事はぼそりと呟いた。しかし、言動とは裏腹に、ぎゅっと拳を固く握り絞めた。
その他
公開:19/03/27 00:36
更新:19/03/27 00:52

神代博志( グスク )









 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容