花神異聞~番外編~5

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「お待たせいたしました」
イサナミがテーブルにコーヒーを並べる。
「ありがとうございます」
「えっと、ツムオさんは」
「ああ、そうですね」
アベルはテントに話しかけた。
「ツムオさん、中はどうですか」
「ええ、なかなか快適ですよ。思ったよりも広いし。どうなってんですかねこれ。ん? あれは人? こっちに来る。ちょっと、あなた誰ですか。こんなところで何を。え? こうしゃく? ちょっと何言ってるかわかんない。ちょ何を、うわっ、やめっ、あああぁぁ~」
「……」
「……」
「そういうことです」
「では、ごゆっくり」
ぺこり、とイサナミが頭を下げる。
「いい味だ」
窓から差し込む午後の柔らかな日差しが、アベルを包んだ。

一方テントの中では。

「ほら、侯爵もっと飲んで」
「おお、すまないツムオ君。私だって国のために一所懸命にだね」
「わかるよあんたの気持ち」
「ツムオ君」

意気投合していた。
その他
公開:19/03/26 18:29
これで本当におしまい ありがとうございました

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