タイムスタンプ

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 「ちょっといいか? Sにさ、次の土曜、泊まりに来てくれって頼まれててさ。『頼みがあるんだ』って。何だよ? って聞いたら、スマホで写真をズラズラ見せられて、それが全部タオルの写真でさ。ニ百枚以上の、濡れてたり皺くちゃだったり泥みたいので汚れてたりするタオル。俺、気持ち悪かったけど、これ何? って、平静を装って聞いたんだ。Sは『俺一人暮らしだから、洗濯は1週間に一回なんだけど』なんて話し始めた。洗濯する度に、使った覚えのないタオルが一本混ざってるんだってさ。それが気になって仕方なくて、使ったタオルの写真をタイムスタンプ付きで撮っておいて、干すときに記憶と照合する作業を繰り返した結果、毎週日曜日の午前2時前後にドロドロに汚れたタオルの写真を撮っていて、それが、使った記憶のないタオルと一致したんだと。『その時、何が起きているのか見てて欲しい』っていう話なんだけど… 俺、どうすればいいと思う?」
ホラー
公開:19/03/28 11:23

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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