早すぎた火

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 夏の終わり前。
 八月のじりじりとした焼け付くような日差しは、少し和らぐだろうか。
 そんな秋の匂いを感じる頃の、死者迎え。
 逝ったときは「何故」と思った。
 時間が経つと寂しさが襲ってきた。
 そして、いないことを何度も確認しては、哀しみに打ち拉がれた。
 あれから、何ヶ月も経っていない。
 なのに、戻ってくるこの時期。
 私はどんな顔をしたらいいのだろう。
 死を突きつけられてから、短期間。それでも尚迎えなくてはいけない、この数日を……どのように。
 すぐに別れは来るのに、準備に追われて、日々を過ごす。
 早すぎる迎え火からの送り火までの時間は、ほんのりした秋の気配と共に、過ぎていく。

 また来年。

 その時には、もう少しゆっくり話ができるだろうか。
その他
公開:19/03/28 10:26

メム( 北海道 )

思いついたままに、文字を綴る。

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