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水瀬君に両手を捕まえられたまま、私はその俯けた顔を覗き込んだ。
「でも水瀬君、それなら、なんで私のこと避けてたの?」
「避けてなんか。僕はただ、先輩に誠実でいたくて」
「誠実?」
そういえば、前にもそんなことを言っていたことがあった気がする。けれど誠実さと私を避けることに、なんの繋がりがあるのだろう。
「……先輩、彼氏さんと別れたばかりでしょう? いくら予約してるからって、傷心の先輩にすぐにアプローチするなんて、すごく不誠実じゃないですか」
「え、もしかして、それで……?」
私が問うと、水瀬君はこくりと頷いた。
「一ヶ月、我慢しようと思ったんです。でも先輩にそんなふうに思われるなら、大失敗です」
そう言ってしょんぼりする水瀬君は可笑しいけど可愛くて、私はいろんなモヤモヤが全部どうでもよくなってしまった。
そうして落ち込む水瀬君の髪を撫でると、今度は私が手を引いて、駅までの道を並んで帰った。
「でも水瀬君、それなら、なんで私のこと避けてたの?」
「避けてなんか。僕はただ、先輩に誠実でいたくて」
「誠実?」
そういえば、前にもそんなことを言っていたことがあった気がする。けれど誠実さと私を避けることに、なんの繋がりがあるのだろう。
「……先輩、彼氏さんと別れたばかりでしょう? いくら予約してるからって、傷心の先輩にすぐにアプローチするなんて、すごく不誠実じゃないですか」
「え、もしかして、それで……?」
私が問うと、水瀬君はこくりと頷いた。
「一ヶ月、我慢しようと思ったんです。でも先輩にそんなふうに思われるなら、大失敗です」
そう言ってしょんぼりする水瀬君は可笑しいけど可愛くて、私はいろんなモヤモヤが全部どうでもよくなってしまった。
そうして落ち込む水瀬君の髪を撫でると、今度は私が手を引いて、駅までの道を並んで帰った。
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公開:19/03/28 00:30
予約の後輩くん
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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