オジサンたちの夜

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『オジサン』
海水魚。下顎から伸びる2本の髭と顔が中年男性に似てることからその名がついた。


居酒屋でスマホを見てると、トイレから姉さんが戻ってきた。
「あ、アジの開き!」
姉さんは自慢の髭でアジをつつくとかぶりついた。

僕らはオジサン。
いつだったか。陽気に誘われ陸に上がると、腕が生え、足も生え、中年男性と変わらない風体に進化した。その後は、何かにつけて居酒屋を呑み歩く、自堕落な日々を過ごしていた。

「父さんとも今日呑みたかったな」
「知らないの?父さん……ぷぷ。この前、酔っ払って堤防を歩いていたら足を滑らせて……海にドボンって!あはは!」
「あはは!顋痛い!」

ーーお楽しみの所すいません。今、活きのいいのが入ったんですよ。

店員に催促され、僕らは後ろを振り向いた。

ーーオジサン、いかがですか

そこには、全裸で気持ちよく生け簀を泳ぐ父がいた。

「ぶはは!活け作りで!」
ファンタジー
公開:19/03/27 20:27
更新:19/03/27 23:11
オジサン祭り

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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