つきあかりの少年

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月光に照らされて、ひとつ、足元に影ができる。
ここ数日で、一番明るい夜だ。
冷たい風を吸い込んで空を見上げる。すると。
「やあ、こんばんは」
突然後ろから声が聞こえて、飛び退く。一人の少年がいた。
「君はだれ?」僕は、恐る恐る聞いた。
「僕は、あの月から降ってきた光なんだ。君の影を借りてここにいるんだよ」
見ると彼の足は、僕の影につながっている。
「大丈夫。おかしなことはしないよ。ただ少し、話をしてみたいんだ。地上にいる人たちと」

僕と彼は、瓦屋根の上で話した。
人々を照らすことの孤独を聴いた。
月光に照らされて安心した夜のことを話した。

どれくらい時間が経っただろう。
「そろそろ行かなきゃ」と彼。
「寂しいな」と僕。
「大丈夫、また会いに来るよ」
彼はそう言って、雲で月光が遮られた瞬間に、ふっといなくなった。

あの不思議な出会いから数か月。
今夜も夜空の月は街を静かに照らしている。
ファンタジー
公開:19/03/27 19:00

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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