16
12
ある日の夕方、母から「帰りが遅くなる」と連絡があった。父はそれを聞いて、すぐに出掛けようとした。
「どこ行くの?」
「ちょっと海底神殿にな」
父の仕事は漁師だ。だから時々、海底神殿にお祈りに行くのだ。
「行ってらっしゃい」
僕はそう応えながら、海底神殿がどんな所か知りたくて父の後をつけることにした。
海底連絡船に乗りこむ父に見つからないように一緒の船に忍びこむ。到着して僕は驚いた。ここは海底神殿じゃない。父が隠していた雑誌で見た事がある。海底で眩しく輝くお城。竜宮城だ。
中に入ろうとする父の背中に声をかけた。
「へぇぇ、ここが海底神殿なんだぁ!」
父は飛び上がって驚き、僕の顔を見て諦めたように溜息をついた。
「ついてきたのかよ、しょうがねえな。母さんには内緒だぞ」
父は僕の肩に手を回し、「いい経験させてやるよ。ここは触るのも揉むのもOKだから」と笑った。
その日、僕は大人の階段を登った。
「どこ行くの?」
「ちょっと海底神殿にな」
父の仕事は漁師だ。だから時々、海底神殿にお祈りに行くのだ。
「行ってらっしゃい」
僕はそう応えながら、海底神殿がどんな所か知りたくて父の後をつけることにした。
海底連絡船に乗りこむ父に見つからないように一緒の船に忍びこむ。到着して僕は驚いた。ここは海底神殿じゃない。父が隠していた雑誌で見た事がある。海底で眩しく輝くお城。竜宮城だ。
中に入ろうとする父の背中に声をかけた。
「へぇぇ、ここが海底神殿なんだぁ!」
父は飛び上がって驚き、僕の顔を見て諦めたように溜息をついた。
「ついてきたのかよ、しょうがねえな。母さんには内緒だぞ」
父は僕の肩に手を回し、「いい経験させてやるよ。ここは触るのも揉むのもOKだから」と笑った。
その日、僕は大人の階段を登った。
青春
公開:19/03/25 23:45
更新:19/03/26 07:01
更新:19/03/26 07:01
お父さんと行くと揉める
海底神殿
スクー
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます