鵞鳥夫人推理張(六)
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「つまり君が私の病院に押し掛け、推定三割引きの麦酒をカタに、私を共犯に仕立てんと企んだ原因は、事務の真麻さんに内緒で、得意客の進物である、浅緒木崎庵のプラムプディングを平らげた、君の意地汚さの所為なのだね、写六君?」
「具体的かつ辛辣な説明有り難う、和十村さん。それであんたの返事は」
「この私が、覚えもない上に不名誉極まりない盗み食いの片棒を、日頃厄介しか持ち込まん疫病神患者の為、担ぐ義理があると?」
革椅子に脚を組み、酒瓶を摘む医師と、絨毯に膝を屈する探偵。彼が来ると大抵こうだ。看護婦の私から見ても、うちの先生は、この迷惑探偵に甘過ぎる。
「これで如何です、先生方?」
「その二本指は、百舌君?」
「私が浅緒木崎庵へ参ります。プディング代は写六先生のお財布から。仕事を怠けたつけと手間賃と口止め料、和十村先生は私に麦酒をもう一本」
「……鳶に油揚げ」
「何か文句でも、先生方?」
『(沈黙)』
「具体的かつ辛辣な説明有り難う、和十村さん。それであんたの返事は」
「この私が、覚えもない上に不名誉極まりない盗み食いの片棒を、日頃厄介しか持ち込まん疫病神患者の為、担ぐ義理があると?」
革椅子に脚を組み、酒瓶を摘む医師と、絨毯に膝を屈する探偵。彼が来ると大抵こうだ。看護婦の私から見ても、うちの先生は、この迷惑探偵に甘過ぎる。
「これで如何です、先生方?」
「その二本指は、百舌君?」
「私が浅緒木崎庵へ参ります。プディング代は写六先生のお財布から。仕事を怠けたつけと手間賃と口止め料、和十村先生は私に麦酒をもう一本」
「……鳶に油揚げ」
「何か文句でも、先生方?」
『(沈黙)』
ミステリー・推理
公開:19/03/25 15:00
更新:19/03/25 15:28
更新:19/03/25 15:28
マザーグース
『アーサー王とプディングの歌』
百舌(もず)看護婦=モースタン
※プラムプディングは英国料理
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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