花神異聞~番外編~1

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イサナを見送り、戻ってきたイサナミにツムオが尋ねた。
「イサナミさん、今の人はどなたですか? なんだかお二人似た感じでしたけど」
「古い知り合いです」
そう言って、イサナミはにこりと笑う。
「知り合いですか」
ツムオは、なんだかはぐらかされたような気がした。
「ところでツムオさん、今日はジャージなんて珍しいですね。いつもは似合わない服で格好つけて来るのに」
「このジャージ、アベルさんの店で買ったんです」
「まあ、そうでしたか。骨董屋なのに、そんなものまで置いてあるんですね」
「品揃えには自信があります」
アベルが答える。
この人。
イサナミは、最初に見たときからずっと気になっていた。
このアベルという男、ただの人間ではない。
なんだろうこの感じ。うかつに近づいてはいけないような。
「それじゃ、コーヒーでも淹れますね」
嫌な感じを振り払うように言うと、イサナミは店の奥へと引っ込んでいった。
その他
公開:19/03/26 18:25
更新:19/03/27 17:50

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