とにかく、毎日が新しい日なんだ。

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「ねえ、今日はどんなお話をしてくださるの?」
「そうだね。料理の話をしようか。私がヘミングウェイの『老人と海』という本を読んだ時、カジキとの死闘が凄いんだよと、興奮して女房に話してね。そしたら翌日、ヘミングウェイカジキの煮付けよって。これが美味くて。秘密はね、甘味が柚ジャムなんだと教えてくれた」
「奥さんお料理お上手なのね」
「そうなんだ。ヘミングウェイの煮付けは特別美味かった。滅多におかわりしないのに、ついついご飯を三杯食べたよ」
「貴方は夜中食べ過ぎて苦しそうだったわ」
「そうだよ。美味しかった。ヘミングウェイの煮付け。ありがとう」
「また作るわ。おやすみ」

病室を出る

女房はもう俺の事を誰だかわからない。でも、ヘミングウェイの煮付けの話をすると、たまにだが、昔の女房が戻ってくる。

「ねえ、今日はどんなお話をしてくださるの?」
「そうだね。料理の話をしようか……」
その他
公開:19/03/26 08:00
更新:19/03/31 17:31
スクー つい食べ過ぎるヘミングウェイ 老人と海

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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