予約の後輩くん(15)

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五秒。十秒。二十秒。
時間が止まったようにぽかんと口を開けたまま動かない私を、水瀬君は、二十秒前と変わらない顔で見つめ続けていた。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って?」
「あ、ゆっくりで平気です」
「や、そうじゃなくて! 私、水瀬君が給湯室で林さんと話してるの、聞いちゃったの。私のことは、そういうんじゃないんでしょう?」
あのとき、私のことを好きなのかと林さんに聞かれた水瀬君は、その話はしたくないと言ったのだ。それなのに、今さらなんの告白をするというのだろう。
私が眉を寄せて水瀬君を強く見上げると、水瀬君は不思議そうにわずかに頭を傾けて、ああ、と合点がいったように頷いた。
「あのときは、あれしか言いようがなかったんです」
「どういうこと?」
「……だって、まだ先輩にも言ってないこと、他の人になんて言えませんよ」
水瀬君はもっともらしく言うと、私の手をもう片方拾い上げて、優しく優しく握りしめた。
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公開:19/03/26 01:05
更新:19/03/28 01:54
予約の後輩くん

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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