201. イケメン魚拓

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習字の授業はキライだ。
皆姿勢を正して硯と半紙と筆先だけをジッと眺めている。
そして、私の名前の画数が多いのも習字がキライな原因の一つだ。
希羅梨(キラリ)なんて名前なんで付けたのよ…。
小筆でもこれだけ画数の多い名前は左隅に収まらない!それに私はこんなに暗い性格なのに。

上手く書けないしイライラするしで、私は一番後ろの席なのを良いことにその小筆で落書きを始めた。

S君は相変わらずカッコいいなぁ…。と、斜め前に座って真面目に課題に取り組んでいる彼の横顔を私はおもむろに描き始めた。
まんま描くと彼だってバレちゃうから、彼の好きな魚に見立てて。
そのまま時間を気にせず夢中になって描いてたらふと頭を小突かれた。
「あら希羅梨さん、これはまた見事なイケメンの魚拓ですね!」

紙を取り上げると、皆に見せながら意外にも先生は私を褒めてくれた。ふと彼を見ると、S君の眼鏡はキラリと鱗のように光ってた。
青春
公開:19/03/23 22:00
更新:19/03/24 16:13
スクー イケメン魚拓

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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