あの橋を落とせ
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今世より遡ること数百年前。戦乱の欧州での知られざる奇跡。
理不尽に攻め込まれ敗戦必至の小国で、生き残った若く美しい女たちが、無人島の廃墟の教会に逃げ込んだ。
だが敵国兵士は、この島に渡る唯一の手段である木製の橋を次々に渡り始めた。
逃げ場を絶たれた彼女たちは、聖堂で祈り続けた。
神よ、我らを救い給え。あの橋を落とし、心無い無法者を諫め給え、と祈り続けた。
その時だった。
突如、材木が軋む音が響き、神の逆鱗に触れた無法者の悲鳴が次々に聞こえてきた。
それでも女たちは神に捧げ続けた。
その姿は何処から見ても敬虔なる修道女そのもの。
廃墟の教会が息を吹き返した瞬間だった。
「てっちゃん、その話し本当なの?」
しかし、冗談好きだが西洋史オタクでもある新婚の夫は、私の手を取り無言で歩き始めた。
二人のすぐ目の前に、世界遺産「モン・サン=ミシェル」がある。
理不尽に攻め込まれ敗戦必至の小国で、生き残った若く美しい女たちが、無人島の廃墟の教会に逃げ込んだ。
だが敵国兵士は、この島に渡る唯一の手段である木製の橋を次々に渡り始めた。
逃げ場を絶たれた彼女たちは、聖堂で祈り続けた。
神よ、我らを救い給え。あの橋を落とし、心無い無法者を諫め給え、と祈り続けた。
その時だった。
突如、材木が軋む音が響き、神の逆鱗に触れた無法者の悲鳴が次々に聞こえてきた。
それでも女たちは神に捧げ続けた。
その姿は何処から見ても敬虔なる修道女そのもの。
廃墟の教会が息を吹き返した瞬間だった。
「てっちゃん、その話し本当なの?」
しかし、冗談好きだが西洋史オタクでもある新婚の夫は、私の手を取り無言で歩き始めた。
二人のすぐ目の前に、世界遺産「モン・サン=ミシェル」がある。
その他
公開:19/03/25 08:30
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