新生活

「ただいま」
「あら、あなた。今日はお早いお帰りですね。あらあら、何かの記念日だったかしら」
「違うよ。君の喜ぶ顔が早く見たくて仕事を切り上げて帰って来たんだ」
「まあ」
「あっ、これはお土産。君とたまにはゆっくり飲みたくて買って来たんだ。僕はいつも君にはすまないと思っているんだ。」
「何がです？」
「僕はいつも仕事仕事で家に帰るのは毎回、深夜。
息子の猛とも全然遊んでやれない。
この前だって一緒に動物園に行こうと約束していたのに急遽、接待ゴルフが決まって猛を裏切ってしまった。あの時、お前が宥めてくれなかったらどうなっていたことか。それに家事だってお前に任せっきりだ。僕は君達のために何もしてやれない。すまない」
「いいんですよ。私はあなたが元気に帰ってきてくれるだけで嬉しいのです。気にしないで」

「はぁ～、もう一人二役にも飽きたな。俺も早く結婚相手を見つけて理想の新婚生活がしたいな」