春の雪

季節の変わり目、サーファーの父は出張で数日間家を空ける。
毎年季節の変わり目に大会があるのか？いや、ない。
一体父はどこに出かけているのだろう？気になって聞いてみた。
「今度の出張一緒に来るか？」
父は私を春の出張に連れてってくれた。
父とやってきたのは海ではなく小高い丘の上だった。
「それじゃ、行くか」
父は私を連れてサーフボードとともに丘から飛び降りる。私は父にしがみついた。
私達の体が落ちていく…感覚がない？
驚いた。目を開けると私達は春風に乗って空を飛んでいた。
父は腰にぶら下げた小袋から何かをバラまいていく。
「これは春の種さ。こいつを空からまくことで春が来るんだ。やってみるか？」
父に言われ、私も小袋から中身を一掴みして地上へと投げた。
「おいおい、それは冬の種だよ。あ～あ、あそこだけ雪が降ってるよ…」
苦笑いする父に私も思わず笑ってしまった。
私も将来、この仕事をやりたいな。