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「ひと月、音沙汰がありませんでしたので」
キョンシーのお札のごとく水瀬君にキャンセル表を突きつけて、私はキッパリと言い放った。
昨日家で作っておいたキャンセル表は、以前に水瀬君が出してきた予約票の書式を真似て作ったものだ。意味不明な書類だけど、自分の作ったものと変わらないのだから文句は言えないだろう。
水瀬君は目の前に翳されたキャンセル表を両手で掴むと、真っ青に染まった顔で私を見た。
その捨てられた子犬みたいな顔に、ぐっと胸がつまる。
でもダメだ。ここで絆されては、いつもとなにも変わらない。
私はふるりと頭を振って、水瀬君に背を向けた。そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。
「水瀬に……鳴海先輩?」
「林さん」
私たちの名を呼んだ噂好きの口は、にやあっと弧を描いた。
その視線を辿ると、水瀬君が私の手首をぎゅっと掴んでいた。
林さんには目もくれず、水瀬君は必死そうな目で私だけを見ていた。
キョンシーのお札のごとく水瀬君にキャンセル表を突きつけて、私はキッパリと言い放った。
昨日家で作っておいたキャンセル表は、以前に水瀬君が出してきた予約票の書式を真似て作ったものだ。意味不明な書類だけど、自分の作ったものと変わらないのだから文句は言えないだろう。
水瀬君は目の前に翳されたキャンセル表を両手で掴むと、真っ青に染まった顔で私を見た。
その捨てられた子犬みたいな顔に、ぐっと胸がつまる。
でもダメだ。ここで絆されては、いつもとなにも変わらない。
私はふるりと頭を振って、水瀬君に背を向けた。そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。
「水瀬に……鳴海先輩?」
「林さん」
私たちの名を呼んだ噂好きの口は、にやあっと弧を描いた。
その視線を辿ると、水瀬君が私の手首をぎゅっと掴んでいた。
林さんには目もくれず、水瀬君は必死そうな目で私だけを見ていた。
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公開:19/03/23 00:08
更新:19/03/23 09:53
更新:19/03/23 09:53
予約の後輩くん
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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