断愛人

大学の後輩だったあの子に“立会人”を頼まれて、結婚式に出席している。

挙式が終わり、披露宴。
ふたりの馴れ初めが司会者により、語られていく。BGMは、結婚式で馴染みのあの曲。歌詞と同じように、皆がふたりを“はやしたて”、彼とあの子の幸せそうな顔。私もうっかり、笑みをこぼしてしまった。
「それでは、新婦の大学時代の先輩であるrさんに祝辞を賜りたいと思います」
私は、マイクの前に向かう。
祝辞の前に、私は新婦に抱擁する。
そしてナイフ突き立て、um dois três。

私は、嗤う。
「あら、白のドレスに赤の斑点模様。“てんとう虫”のようね、素敵よ」

今度は、私を捨てた“彼”に、ナイフを向けて…um dois três。um dois três。

そう、私は断愛人《たちあいにん》。絶対に、幸せになんてさせない。私の“幸せ”を壊したふたりを。