桜おじさん

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ひらり、ひらり、と。
きらり、きらり、と。
月明かりに照らされながら、まるで雪が舞っているかのように桜の花びらが舞い散っていた。

「わぁ、見て見て!」
「おー! 綺麗だねぇ」
「まさに情緒あふれる光景、ってやつ?」
「春の雪、だねぇ」
「あれ?」
「どうしたの?」
「今って、風吹いていないよね?」
「ん? そう言えば吹いていないねぇ」
「じゃあ、なんでこんなに桜が舞い散っているの?」
「うーん。俺たちのためかなぁ?」
「どういうこと?」
「桜が気をきかせてくれている、ってことだよ」
「なにそれー」

そんな今にもキスしそうな雰囲気の二人を見ているおじさんがいた。
暗がりにいるため、二人には気付かれていないらしい。
そのおじさんは桜の木の下にいた。
額には玉のような汗がにじみ浮かんでいる。

「ふんっ! ふんっ!」

おじさんは必死に桜の木を揺らし、このシチュエーションを演出しているのだ。
青春
公開:19/03/22 22:22
更新:19/03/22 22:23
おじさん祭

壬生乃サル

自由きままに、気の向くままに。
サルも木から落ちる・る・る~。

壬生乃サル(MIBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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