花見おじさん

8
11

春がやってきて、桜が咲いた。
桜の木が部屋の窓からすぐそこに見える。
だから私はこの家を選んだ。

選んだのだけれど……

「もっとツブツブしてるもんかと……それはイクラか!」
「意外とネバネバしませんね。それはオクラか!」
「どうした暗い顔して……ネクラか!」
「眠くなってきてた……何か頭に敷くもの……それはマクラか!」

花見客のおじさんたちがうるさい。

しかしなんでおじさんばかりなのだろう?
もっと他の団体、子供も交えた家族同士の付き合いとか、女子会とか、大学生のサークルとか、いてもおかしくないのに。

私は不思議に思って、いつもはカーテンを閉めて過ごすところを、おじさん達の観察にあてた。

するとどうだろう、日が沈んだところから、おじさん達がどんどん縮んでいくではないか。

見に行くと、おじさんはみんな小さくなって地面に生えていた。

私は次の日、おじさんの草を全て引っこ抜いた。
ファンタジー
公開:19/03/22 22:07
花見 シュール ダジャレ

空岸なし

読んでくださりありがとうございます!たまに更新したりしたいなと思ったりしたりしています。https://mobile.twitter.com/sorakky0

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容