よーいどん

よーいどんとみんなが一斉にスタートする。お互いが牽制し合い、殴りかかってこようとしても、僕はゴールを目指して走る。

ゴールには憧れの職業が書かれたカードが裏向きで並べられている。パイロット、探偵、消防士など、カードを引き上げるだけでその職業になれる。

もう三回目の学生はもう嫌だ。

「ちっ、調教師かよ。調理師になりたかったのに」

隣から泣き言が聞こえる。

もうゴールへは着いた。実は言うとゴールへと着くのは簡単だ。ただなりたい職業の座標へ行かないといけない。太陽や風の向き、時刻、温度、さらには湿度が一つでも違えば同じ座標でも、全く別の職業になる。

隣のやつは目測を誤ったのだろう。僕はもう・・・失敗しない。

きらりと閃きがした。このカードに間違いない。すし職人の道は開かれたのだ。

カードをめくるとそこに書かれてたのは腹巻職人だった。

僕の人生は腹巻によって拘束された。