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いつも猫はそこに座っていた。
野良猫であるが、人が近寄ると腹を撫でて行けとばかりにゴロンと横になり腹を見せた。近所のおもちゃ屋が世話をしていたとも言うが、そのおもちゃ屋も当の昔に潰れてしまい、今はどこに行ったかもわからない

晴れた日は日向ぼっこをして過ごし、雨の日は近くの木に雨宿りをして過ごす。保健所に通報する者は誰もおらず、多くの者に愛されていたし、引き取ろうとする者もいたが、しばらくすると戻ってきて、同じ場所に座っている。その内、訳があるんだろうと言う事になったが、不意に居なくなった。

それから300年ほど経ち町もすっかり変わってしまった頃に、猫がのんびりやってきて、いつもの場所に座った。昔から町のあちこちに据えてあった監視カメラの映像をチェックする人工知能は猫の照合をし始めて、誤差の範囲を超えた長生きに驚いたが、それを報告する人間たちはもうどこにも居なかった
ファンタジー
公開:19/03/20 17:48
更新:19/03/20 18:16

長井四六九( 日本 )

面白い話を書きたいものです。

でも、上手く書こうとすると全然書けませんね。これがZENなのかなぁ 全然だけに (*´-`)

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