電虫のお仕事

友人に誘われ電虫管理社という会社に転職した。
希望者は電虫と呼ばれる電信柱に改造され、街に電気を送りながら残りの人生を静かに過ごす。
俺のように余命宣告された者達や、痴呆前の老人が多い。

もちろん動けないが、この新生活は暑くも寒くも、そして痛くもなく快適だ。
寝たいときに寝れるし、流れてくる電気を食事とするので飢えることもない。

意識はある。
喋れないが見えるし聴こえる。

天敵は犬の散歩。
あいつらのマーキング行動だけは屈辱だ。
でも運良く女子高の通学路に配置されたので登下校の時間が毎日の楽しみだったりする。

喋れないと言ったが、意思の疎通はケーブルを通して出来たりする。
昨夜、俺の目の前で起きたコンビニ強盗の犯人の逃走は電虫ネットワークで追跡。
管理社へ情報が瞬時に送られ、即時逮捕されたと聞いた。

そう…主要任務は治安維持を目的とした街の監視。

おっと…みんなには内緒だよ。