ピンクのオーラ

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書店に入った瞬間、甘い香りがした。ムズ痒さを感じた私は、その香りを辿る。
行き着いた先は女性誌コーナー。寄り添うようにして雑誌を読んでいる男女がいた。
私は雑誌を物色しながら、チラリと二人の様子を窺う。特に会話は交わしていない。彼女は雑誌に集中しているようだ。
開かれているページには「新生活応援」や「同棲生活」の文字が踊っていた。私の心がザラつく。
一方、彼の視線は雑誌ではなく彼女の顔に向いていた。そんな彼の腕がもそもそと動いている。不審に思った私は、二人の背後にまわった。
彼は、肩でハネた彼女の髪先を摘まみ、クリクリねじっていた。よく見ると、そこからピンクがかった淡いオーラが出ている。
甘い香りの正体は、これか。
そんなピンクのオーラが私を導くように、ふわふわ漂い始めた。ふらり、と後を追う。
気が付くと、とあるコーナーの前にいた。私は背中を押されたのだろうか。
そこには恋愛指南書が……。
その他
公開:19/03/20 12:55
新生活

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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