200. LPじいちゃん

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闘病中だったじいちゃんが桜の開花と共に亡くなった。そんなじいちゃんの棺には、大好きで毎日のように聴いていたプレスリーのLPを家族皆で納めてあげた。これなら天国へ行っても淋しくはないだろう。

葬儀が無事に終わり遺骨と共に帰宅し、部屋で寝ていたら誰かが俺の肩を叩いた。

『おぃ、ユウジ』

頭に天使の輪の代わりに、LPを乗せてるじいちゃんが立っていた。

「え?じいちゃん?なに、どうしたの?」
『プレーヤーはどこじゃ?あれがないとレコードは聴けんからのぅ』

…ベッドからずり落ちそうになって目が覚めた。あぁ夢か…。
俺は早速父さんにこのことを伝えた。
「そうか、プレーヤーには気づかなかったなぁ…」
「わかった!じゃあ俺がPCで曲を買ってiPodに入れるよ」

俺は数日かけプレスリーの曲をそれに入れると、イヤホンと共に仏壇に供えた。

『ユウジ、おれは補聴器しとるからイヤホンは使えんのじゃ…』
その他
公開:19/03/21 00:37
更新:20/11/09 12:57
昨日はLPレコードの日でした 記念すべき200作め☆

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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