トロッコ列車に乗って

8
11

新緑に囲まれた木造駅舎。僕は切符を買ってトロッコ列車に飛び乗った。僕を含め4組の乗客。1人客は僕だけか…

『とろっこれっしゃ』
「おお、ひらがな上手に書けたね」
「明日から勉強がんばろうね」
「うん!」

真新しいランドセルの女の子。親御さんと一緒。入学式かな。

「海の見える部屋がいいわ」
「そうだね、君の欲しかったアイランドキッチンも備えよう」

ピンクのバラのブーケ。新婚さんだろうか。

「これから二人で旅に出よう。世界一周なんてどうだ」
「あなた、無理しないでね。もう若くないんだから」

顔も隠れる大きな花束。定年を迎えた夫婦かな。

ピーーーーー!

笛が大空に高鳴った。

「ご乗車ありがとうございます。『新生活』行きのトロッコ列車。ただいま出発します!」

いよいよ出発だ。初めてのスーツと革靴。1人だけど寂しくない。

明日から僕の新生活も始まる。
ファンタジー
公開:19/03/20 22:28
更新:19/03/20 22:35
新生活

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容