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「君の事は色々調べさせて貰ったよ」
高そうな黒のスーツ。聞くだけで安心感を与える低音の落ち着いた声音。柔和な笑顔。善良そうな男だった。
「君は先日の節分で今年の恵方の東北東をコンパスも使わずに言い当てたそうじゃないか」
「それが何か?」
「君は選ばれた人間だ。普通の人間にはない超人的な磁覚を持っている。私は君のような磁力の優れた人間を集めているのさ。さあ、私と一緒に新しい世界を作ろう。私が君に本当の力の使い方を教えてやる。あ〜そうそう。君のお母さんも、君が私の元で働く事に賛成してくれたよ」
「か、母さんに何をした!」
「楽にしてやったのさ。私の力でね」
それが、社長との出会いだった。

触れた相手の体内磁石を矯正する。
その真の力に目覚めた僕は、『磁力整体はんどぱわあ新宿店』で今日も施術に励む。
「あ〜だいぶ歪んじゃってますねぇ」
社長の目指す新しい世界。
腰痛に悩まない世界を作るために。
青春
公開:19/03/19 19:37
更新:19/03/19 20:29

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
SSGで書き始めてから、もうすぐ2年。ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算21回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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