こころのなかに鯖を飼っている

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渋谷だけは永遠に許さない。
何回訪れても迷うランキング堂々の第一位を贈呈しよう。
心の中で悪態をつきながら、わたしは坂を下る。

今日、新しい住居を決めた。
一人暮らしの経験があるとはいえ、東京で暮らすことには不安がある。
好きで来たのだから、当然期待もある。
でもやっぱり、都会ってなんかおっかない。

日が暮れてきて、お腹の音が聞こえる。
そろそろ夕食の時間だな。
駅まではまだ遠そうだ。
その時、ふとどこかから鯖の焼ける匂いが漂ってきた。

自然とほほが緩んで、目を伏せる。
そういえば、実家でいつも鯖の焼ける匂いがしたっけ。
この匂いを嗅げば、実家を思い出すんだな、渋谷でも。

そうだ、こころのなかに鯖を飼おう。
そうしてさみしくなったときに焼くのだ。
そうすれば、安心できる場所を思い出せる。
いつでも、どこにいても。

わたしはこころのなかに鯖を飼っている。
青春
公開:19/03/20 03:16

だいふく

だいふくです。
文、絵、漫画、歌など創作・表現全般が好きです。
未熟者ですが、アウトプットすることを大切にしています。

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