未知の案内人

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朝。電車で寝落ちした俺は、見知らぬ土地の畦道を森に向かい歩いていた。

夕暮れ空をぼぉっと眺めていると「こっちです」背後から声。振り向くと戦時中にいたような少年がランプを持って立っている。少年は来た道の反対を指差し踵を返した。俺は何を問うこともなく少年の後をついて行くことにした。

どれくらい歩いただろうか、振り向くと遠くの森の奥から汽笛の音が聞こえた。
「もう大丈夫です。この道を真っ直ぐにお行きなさい」少年はそう言いランプを手渡した刹那、少年も景色も全て消え闇に包まれた。

俺は乗車中に倒れ気を失い、次の駅から救急車で運ばれたらしい。その電車は、脱線事故で多くの乗客が亡くなった車両だった。

大手家電量販店の入社式を終え、研修が始まろうとしていた。会場に新入社員が集う。スクリーンに創業者の幼少期が映し出された。あっと声を上げた。あの少年だった。

俺は救われた命を社に捧げようと決意した。
その他
公開:19/03/20 00:07

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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