199. 研究の成果

21
15

人間は年を取ると転んで二度と歩けなくなることも多いので、四つ足で歩けるようにと試行錯誤していた奈良在住のS博士と助手たちが、続けてきた研究をこの度結実させた。
遺伝子を操作して手足の長さや頭の大きさ位置を変え、四本足でスムーズに走ったり歩けるようにしたのだ。
しかし、いきなりそんな形の人間が生まれるとそれまでの二足歩行の人間から気味悪がられるので、鹿と酷似させて様子を伺うことにした。
鹿ニンゲンたちは思った通り本来の鹿と区別がつかないほど街に馴染んだ。しかし脳の中身は人間なので思わぬヤンチャを始めた。
2歳になると鹿煎餅を食べず玩具にし、3歳になると糞を投げ合って遊んだ。

それを見つけた鹿たちは、S博士のところに直談判しに来た。
「やはりこの状況は見逃せません。我々は神なのですから、三年目のこの節目に、しかるべきところに出て話し合いを──」

博士は眉を下げシカられる覚悟を決めた。
SF
公開:19/03/18 00:00
更新:20/11/09 12:56

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容