昨日の僕と今日の僕

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「ごめん、お待たせ!」
昨日(3月31日)の僕が息を切らして走ってきた。
「遅い!なにして…」
その姿に驚いた。髪を短く刈っていたのだ。
「へへ、びっくりした?」
昨日の僕は照れくさそうに笑った。
「どうして?」
「…変わりたくて」
わかっていた。だって僕は明日の君だから。
「思い切ったね」
「長いと、暗く見られて友達できなかったからさ」
「うん。似合うと思うよ」
「なに他人事みたいに。自分だってすぐにこうなるんだよ」
「はは、そうだね。ただ…」
僕らは一瞬目を見て、顔を伏せた。
「明後日だよね…」
昨日の僕が呟いた。
彼から見て明後日、つまり4月2日の僕は一年で一番気が強くて身体が大きい(当僕比)。
「…怒るよね」
「何とかするよ。得意の口先で」
僕は一年でたった一日、嘘をついても許される日だから。その気持ちを大切にしたい。
昨日の僕が日付を超えて僕と重なる。春の風が耳元でひんやりした。
青春
公開:19/03/17 23:04

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