信じがたい転職とお詫び

8
8

日課となった夜のジョギングをしていると、地面を蹴る感触が無くなった。体重など無いかの様に身体が軽い。

これがランナーズハイかと思ったが違った。景色が横ではなく縦に変化する。ジタバタしたが上昇は止まらず、観念して最後の景色となるだろう涙でぼやけた夜景を目に焼き付けつつ宇宙船に吸い込まれた。

宇宙人には私の考えている事が筒抜けらしく、資源や環境の問題が無いので侵略が目的では無い事。公的に地球人に接触しないのは地球独自の文化活動に干渉しない為だ、等々好奇心を満たす説明をされ、最後に彼らの目的に協力するか、全て忘れて地上に戻るか問われ、即答で前者を選んだ。

結果、読み、見聞きした物の複製を自動で宇宙へ輸出するよう改造を施され、文学作品を読み、美術館や博物館を巡り、音楽を聴き──文化活動から生み出された作品に触れる事が私の新たな仕事となった。

勝手に輸出している事、ここにお詫び申し上げます。
SF
公開:19/03/17 22:47

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容