僕は君の足

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雪解け水が土に注いで、新芽の柔らかい匂いがする。
今年も逢えたなぁ。僕は君に『ただいま』のキスをする。
冬の間、君とは離れ離れ。解ってても悔しくて、やっぱり心配だった。『おかえり』もう1回言って、僕はストロベリージャムみたいに真っ赤な君の、脚の付け根にキスをする。

今日は空が明るいから、日向ぼっこがてら、ゆっくり散歩しようか。
それとも再会を祝して、デパートまで買い物に出ようか。
休日の君に付き合って、のんびり寝坊も悪くないけど。僕は冬中眠ったから、出掛けたくて仕方ないんだ。君は駄々っ子を撫でる様に、僕の額に『おはよう』のキスをする。

僕はやがて君を置いていくけど、なるべく長い時間、愛おしむ様に、包む様に寄り添っていたい。シャンプーしたての僕と君は、腹ごしらえも済んで、『行って来ます』のキスを交換する。

春風に吹かれ、君と僕の毎日が始まる。
エンジン始動。さぁ、今日は何処を走ろうか。
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公開:19/03/19 00:00
車とタイヤ(ノーマル)の新生活

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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