アパートの花子さん
14
13
格安アパートにおかっぱ着物の女の子が居た。
「わたし、トイレの花子さん。よろしく」
四月から憧れの一人暮らし、の筈だった。
「大丈夫。生前と違って今はルームシェア?も普通だし」
『生前』と書いて『むかし』と読むな。大体、ここは学校でもトイレでもない。
「わたし、常識に縛られるの嫌いだから」
地縛霊じゃん。めっちゃ縛られてんじゃん。
「気が晴れたら成仏できると思う」
奇妙なルームシェアが始まった。
花子さんと私はたくさんおしゃべりをした。流行りのスイーツ、きれいな服、好きな男の子の話まで。
「あー、すっごく楽しい。あなたは?」
突然聞かれて驚いた。「楽しい」なんて気持ち、生きてる時には感じたことなかったから。
その瞬間、気が晴れた私は春の空に舞い上がった。そっか。私は友達が欲しかったんだ。
「また来世ね」
『来世』と書いて『こんど』と読むな。
花子さんの声が桜の花びらみたいに風に舞った。
「わたし、トイレの花子さん。よろしく」
四月から憧れの一人暮らし、の筈だった。
「大丈夫。生前と違って今はルームシェア?も普通だし」
『生前』と書いて『むかし』と読むな。大体、ここは学校でもトイレでもない。
「わたし、常識に縛られるの嫌いだから」
地縛霊じゃん。めっちゃ縛られてんじゃん。
「気が晴れたら成仏できると思う」
奇妙なルームシェアが始まった。
花子さんと私はたくさんおしゃべりをした。流行りのスイーツ、きれいな服、好きな男の子の話まで。
「あー、すっごく楽しい。あなたは?」
突然聞かれて驚いた。「楽しい」なんて気持ち、生きてる時には感じたことなかったから。
その瞬間、気が晴れた私は春の空に舞い上がった。そっか。私は友達が欲しかったんだ。
「また来世ね」
『来世』と書いて『こんど』と読むな。
花子さんの声が桜の花びらみたいに風に舞った。
青春
公開:19/03/16 23:19
ログインするとコメントを投稿できます