コンサート

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「声は届くかな」
私は、声を震わしながら、コンサート会場に集まってくれた観客一人一人の心に響く歌を歌った。
でも、本当の目的は、天国に先立った妻へ声を届けるためであった。

私が全ての歌を歌い終えた後、張り詰めていた緊張感がすっかりと抜け落ちた。
そして、床に向けていた顔を上げると、観客がスタンディングオベーションで拍手をしていた。

その中に、妻の姿があった。
ニコニコと笑いながら、時折、手の甲で涙を拭いながら、観客と同様に拍手をしている。

私は感激のあまり、最後の挨拶でむせてしまった。
涙が止まらない。どうしようもない・・・

「私は、妻を失ってから、一度も心から泣いたことはありませんでした。でも、今日こうして、また、妻と会えて感激しています。
私は歌手でよかった。そう思えた一日でした」

私は観客に涙を隠し、最後の言葉を締めくくった。
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公開:19/03/16 20:21

神代博志( グスク )









 

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