かくれんぼ

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真剣に生きてほしい。
藍染作家の両親はそんな願いをこめて私を「真剣」と名付けた。
何事にも真剣に。
私はいつも自分にそう言い聞かせながら毎日を過ごしてきた。4月には中学生になる。学校も部活動も精一杯がんばろうと思う。
でもこのままでは中学には行けないかもしれない。
私は今かくれんぼをしている。
隠れはじめて3日になるけれど、誰も見つけてはくれない。かくれんぼなのだから見つからないのがいいはずなのに、このままではいけない気もする。
安易に出ていっては真剣さに欠けるし、このまま人生を終えることになったら笑えない。両親や友達が悲しむのもいやだ。
私は藍染工房にいる。
煉瓦造りの薄暗い工房には、地中に埋めた甕がいくつも並んでいて、その甕の中は発酵した藍染液で満たされている。
私はその中に潜っていた。
2日後、私は警察による捜索で発見された。
皆が青い顔をしていたけれど、誰も私の色には敵わなかった。
公開:19/03/17 16:03

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